「日本一社長らしくない社長」と自身を称する内田社長。父であり先代でもある会長をはじめ、個性派の面々に囲まれながら、横一線で仕事を進めるのが「協同ホームコンサルタント」のスタイルです。施主さんとのコミュニケーションを深める独自のイベント企画や、後継者育成への課題などについてお伺いしました。
目次
個性の強い職人集団を取りまとめる二代目社長
2人の取締役と2人の会長、横一線のチームワークです。
ー現在の社員は8人だそうですが、内訳を教えてください。
私と取締役が2人、会長が2人、あとは事務員3人の8人体制です。会長が2人いる理由は、先代社長が2人体制だったからです。世間では社長が複数名だと経営しにくいと言われますが、うちはうまくやってきました。
ー会社の起こりはどんなきっかけだったのですか。
高校卒業後、故郷から大阪に出てきて職人になった父や仲間たちが、安普請の家が大量に作られる当時の風潮に反発して、本当によい家を作ろうじゃないかと集まったのが始まりです。言うなれば時代に逆行した訳ですが、有難いことに共感してくれるお客さまがおられて、お陰さまで商売として成り立ちました。
ーそれが今の会長たちですね。まだ現役でいらっしゃるのですか?
フルタイムで元気に出社してますよ。年が年だけに、そろそろゆっくりして欲しいと思いますけど。
教師志望から家業の建築へ。現場と専門学校で修業しました。
ー社長が代替わりされたのが、33歳。どんなきっかけだったのですか。
社長たちが還暦を超えて、そろそろ次代に任せようという事になりました。19歳で仕事を始めて14年目でした。
ー19歳までは何か仕事をされていたのですか?
教師を目指して受験したのですが、2回落ちたのできっぱり諦めて、父の跡を継ぐことにしました。もともと建築の世界は形が組み上がっていく行程が好きでした。入社一年間は下働き、翌年から本格的に知識をつけるために夜間の専門学校に2年間通いました。
ー専門学校で学んだことは大きかったですか。
とても有意義でした。業界の基礎を学べましたし、先生も良い方でした。毎年、海外の建築を見に行く研修旅行を企画して下さるのですが、それに参加してバルセロナで見たガウディの建築は衝撃でした。当時はサグラダファミリアもまだ今より粗削りでしたが、圧倒的なパワーに感動しました。
みんな職人で頑固。会議をすると8割以上は紛糾します。
ーご自身で言われる「日本一社長らしくない社長」というのは、どういう意味でしょうか。
取締役2人は、高校の同窓です。そして会長は私の父とそのパートナー。私は社長の肩書きが必要な時に担ぎ上げられるだけで、全員がひとり親方で横並びの関係です。だから会議は大抵、8割以上ああでもないこうでもないとなりますね。
ー皆さん、すごく個性的だと聞いてます(笑)
ええ、濃いですよ(笑)でも、メンバーの意見が一致したときは、すごい馬力が出ます。みんな職人ですから、納得して動き始めたらスピード感がありますね。
地域に根差した、丁寧な「施主」とのお付き合いとは
「施主の会」「季刊紙」「訪問対話活動」を実施
ー施主さんとのイベントや広報など、独自の活動を行っておられるそうですが、どんなものなのですか。
まずは「施主の会」というのがありまして、これは読んで字のごとく弊社でご発注いただいた施主様にご入会いただくコミュニティです。その会員様へ向けて「季刊紙」と「訪問対話活動」という働きかけをしています。季刊紙は年に5回、季節の話題や弊社のニュースなどを盛り込み、郵送しています。訪問対話活動は梅雨時の隔週日曜、お申込みいただいたお宅へ「お困りごとはないですか」とお伺いしています。
ー引き渡しの後も、密なお付き合いをされているんですね。
私たちは職人なので、営業活動はできません。だから、こういう形でお客様の近くにいたいと思っています。そうするとお客さまも気軽に相談しやすくなるんですよ。季刊紙でもイベントの参加募集をして、楽しみながらコミュニケーションを取っています。今年はコロナで活動の規模は小さくしましたが、みかん狩りを開催しました。
若い世代、高齢者、それぞれに快適な住まいを提案
ー社員を増やす計画はありますか?
あります。そろそろ後継者を育てないといけません。常に探してはいますが、誰でもいいというわけではなく、本気で建築に取り組んでくれる人を求めます。次の社長は自分の子にこだわっていませんし、資格が全くなくてもいい。仕事はいくらでも教えられるので、それより素直に貪欲に学んでくれる人。そして、イベントしたり施主さんを訪問したり、うちの社風になじんでくれる人がいいですね。
ー理想としては、何年で何人くらい増やしたいですか。
5年で2倍にしたいです。大仕事ですが、これからの10年で育て上げる覚悟です。会社の存続を考えると、社長として最重要課題です。
ー今後の課題や、やってみたいことはありますか。
住まいの講座を開いておられる方とコラボレーションし、若い世代でも家を建てられるような提案を始めています。うちは長いお付き合いの施主さんが多く、皆さん高齢化していかれますので、若い顧客の開拓は必須です。そして、それと同時に60歳を超えて終の棲家を求める層にも、本当に住みやすい家を提案できたらと思います。
ー今年はコロナ禍で大変でしたが、来年はイベントなどができるといいですね。
そうですね。実は今年が弊社の創業50周年だったので、何かやりたいと思っていましたが、ちょっと難しい状況でした。また来年以降で、お客さまに還元できることができたらいいなと考えています。
まとめ
イベントの企画や準備は、「社長の私が仕切ります」と笑う内田さん。リピーターが7割を超えるという、地域に密着したアットホームな工務店です。地道な施主さんとのお付き合いが、新しい顧客の紹介につながることも多いそう。得意分野の木造一戸建てから、小さなリフォームまで、職人技の光る仕事に高い評価を得ています。