代表インタビュー

住まいのその先にある、
しあわせな暮らしを見つめて。

代表取締役

金子 真也

ご挨拶

Greeting

私たち八尾トーヨー住器株式会社は、1974年の設立以来、
サッシをはじめとする住宅設備機器の販売において、リーディングカンパニーの座を築き上げてきました。

その背景にあったのは、常に時代に合わせてアップデートを繰り返そうというDNA。

とくにここ数年は、古い常識にとらわれず、自分たちの働き方をよりよくしていこうというイニシアチブが社内に生まれ、
内部からアップデートが加速しています。少子高齢化や建設業界における人材離れなど、
私たちを取り囲む状況は今も変化し続けています。

しかし、この国に「暮らし」がある限り、住まいの資材をお届けするという私たちの使命はずっと続くでしょう。
願わくはこの仕事が、志と思いやりにあふれ、多くの人にしあわせを届けられるものであるように。

その思いを胸に、私たちは歩み続けます。

「人」としての部分を軸に据え、「関わるみなさんとの誠実で一貫した関係づくり」

――1974年の設立以来、住宅設備機器の販売においてリーディングカンパニーの地位を築き上げてきた八尾トーヨー住器という会社。その背景にはどのような想いや価値観があったのでしょうか?

これは社内でもよく話す内容なのですが、私たちが取り扱っているのは工業製品なので、「自社独自の製品」のようなアプローチでの差別化とは縁のないところにいるわけですね。
弊社から購入できる商品は、他社さんからも購入することができる。
そこに何か付加価値を生み出す努力がなくては、不毛な価格競争に陥ってしまいます。
これでは業界としても疲弊していく一方ですし、働くメンバーも楽しくなくなってしまいます。

では、その付加価値、「商品以外の部分とはどこか」ということになると、それは結局「働くメンバーがお客様とどのように向き合うか」でしかないと思っています。

素直さ、真面目さ、一生懸命さ。もちろん、「これまでの時代」と「これからの時代」では、選ばれる努力の形も少し変わってくるのかもしれません。しかし、「人」としての部分を軸に据え、「関わるみなさんとの誠実で一貫した関係づくり」を積み重ねた結果として、企業ブランドを形作っていくという点では今後も変わりません。

生きていくために欠かせない「住」というテーマにどのように向き合っていくのか

――「これまで」と「これから」という表現がありましたが、業界の動向としては今どのような流れがあるのでしょうか?また、社長ご自身はその流れをどのように捉えていますか?

この業界に限ったことではありませんが、単純にこの国の人口は減っています。団塊の世代と呼ばれる人たちの時代に比べると、出生数なども3分の1以下になっている。

70~80年代にかけ、各地でニュータウンができていった流れを見るとわかるのですが、住宅資材をはじめ、この国における住宅産業というのは、団塊の世代の人たちが大人になり、所得が増えていく中で需要が拡大していったわけですね。

それを考えると、単純に人口が3分の1以下になれば需要も3分の1以下になるであろうと。
こうした「縮小傾向にある」という空気は、業界全体が感じていることだと思います。

ただ、私はそうした流れを決して悲観的に捉えてはいません。
なぜなら、どれほど人口が減ったとしても、人が生きてる以上「暮らし」は絶対になくならないからです。
家というものは必ず必要なので。

環境が変化していく中、生きていくために欠かせない「住」というテーマにどのように向き合っていくのか。
それをしっかりと考え、時代の変化に合わせて自社も変わっていくことができれば自ずと残っていくことができると。
そう考えています。

実際ここ数年で、様々な変革を進めていますよね。
全社員が身につけている「こころ」というクレドの策定

――実際ここ数年で、様々な変革を進めていますよね。
変革に臨むにあたり、まず何から手をつけていったのでしょうか?

自社の変革に取り組み始めたのは2014年。
必要性の啓蒙を含めた下地づくりにはじまり、まずは「根本にある想いの具現化」から行っていきましたね。
元々「真面目に一生懸命」という社風自体は醸成されていたので、それぞれで少しずつ異なるその矛先を会社として示す方向に統一していこうと。それで今、全社員が身につけている「こころ」というクレドの策定を行いました。
これが2016年の出来事なので、3年ほどかけてじっくりと形にしていったことになります。

内容については、「全く新しい何か」ということではありません。
弊社には設立時より「経営目標」「社業の意義」「基本精神」といったものがありました。どちらかと言えば概念的だったこれらの事柄を、具体的な行動指針に落とし込んでいったという流れが正しい認識になります。

多様な働き方の受け入れが必要となってくる中で、「場所を選ばずに仕事ができる」ということ

――「こころ」の策定後から、変革が加速していったという印象です。
オフィスの雰囲気もがらりと変わりましたよね?

そうですね。
「こころ」が完成した後、フリーアドレスを導入したことは大きいかもしれません。
これから多様な働き方の受け入れが必要となってくる中で、「場所を選ばずに仕事ができる」ということはとても大切ですから。

ただ、データ管理の最適化ができていなければフリーアドレスも意味をなさないので、まずは伝票や資料関係のデジタル化を進めました。

それから、管理職と全営業担当に一人一台タブレット端末(Surface)を支給しました。
iPadの発売初期から試験的に営業担当に持たせてみたりなど、元々新しい
テクノロジーに対して積極的なところはあったのですが、本格的に実務に活かしはじめたのはこの頃からですね。

労働時間など、そもそもの働き方について見直しはじめたのもこの頃でしたね。巷で「働き方改革」という言葉が声高に叫ばれ始める以前でしたが、そのあたりもやはり時代に合わせて変えていかなければならないなと。
子育てしながら働いているメンバーも多く、また弊社はテレワーク推進事業について厚生労働省から認定を受けた会社でもあるので、「働きやすい会社」というのは今後も追求していきたいと考えています。

視野を広げ、自分や自社を生かしてくれている全ての関係性を見つめ、そこに自分がどのように貢献できるかを考える。

――クレドの策定や働き方の見直しなど、「内」の整備から始まった変革。それが「社会貢献」や「海外での取り組み」など、「外」のベクトルも現れはじめたのは何か契機があったのでしょうか?

とくに大きなきっかけがあったというわけではありません。
ただ、「こころ」を体現する、すなわち「人としてのあり方」を再定義し、企業ブランドに直結させていこうと考えたとき、自ずと地域に向けての活動などが浮かび上がってきたわけですね。
あとはその「地域」の捉え方ひとつです。本社のある「恩智」も地域、「大阪」も地域、視野を広げれば「関西」も「日本」も「世界」でさえも、関わる地域には間違いないでしょう?

あとはその「地域」に対して、どんな貢献をできるかと一生懸命考えることです。
もちろん、カンボジアでの活動ひとつとっても、ゆくゆくは事業につなげていくことを見据えてはいますが、要点としてはそうした取り組みを通した「人間力の向上」です。

視野を広げ、自分や自社を生かしてくれている全ての関係性を見つめ、そこに自分がどのように貢献できるかを考える。
その思考回路は結局、回り回ってお客様に提供するサービスの質にも反映されていきますから。

「住生活」という軸は変わらないながらも、「住生活なら全てお任せください」と言えてしまうくらい頼れる会社になっていきたい

――今の環境に捉われず、視野を広げていくということですが、そうしたお考えは事業の部分でもお持ちなんでしょうか?

そうですね。
現在は住宅資材の販売がメインですが、今、おかげさまで「sopra(ソプラ)」という建築部門の事業部も拡大してきていまして。
将来的には二枚看板のような形になっていくかもしれないと、そう考えるくらいの勢いを感じています。
考えてみれば、元々はエンドユーザー様の「こんな夢や理想があります」という想いがあり、それに対して私たちの提案と、必要な商品が後からついてくるわけなので、方法や枠組みに捉われすぎる必要はないと思うんですね。
「住生活」という軸は変わらないながらも、「住生活なら全てお任せください」と言えてしまうくらい頼れる会社になっていきたいですね。

ちなみにsopra(ソプラ)というのは、音楽用語の「ソプラノ=高音の、最高音の」というところから来ています。
「高品質な住宅、高品質な生活を提供していく」という意味ですね。
重要なのは「高品質」と「高級」は違う、ということ。
「質の高い生活」の定義は、個々人の理想や環境で如何様にでも変わるものですので、「ただ高いもの」ではなく、その人その人の理想に合わせた「高品質」をしっかりと言い当て、適切な提案できるような会社を目指していくという決意を込めました。

「バトンをつないでいける会社」

――現在の事業、様々な取り組みなどを総括した上で、企業としての目標、また社長ご自身の夢についてもお聞かせいただけますか?

すごく当然のことなんですが、企業としては、「ちゃんとバトンをつないでいける会社」にしていきたいです。

設立からもうすぐ半世紀というところまで来ていますが、人から人へバトンをつないでいける会社になることができれば、その次の半世紀も、その先100年、200年も、きっと価値のある会社として続いていくことができるのかなと。

それこそ、「こころ」がきっちりと浸透して、それを各自が体現できるようになっていれば、この先何があっても、その時に率いるべき人が方向を指し示し、みんなで力を合わせて乗り越えていけると思っています。

そして私個人としては、「笑って引退したい」というのが夢ですね。
人間である以上、誰でも必ず引退の時期は訪れます。それは「ここまで」と決めたのなら、そこまでにしなくてはいけませんので。
ただその時に、同じく引退する同世代の仲間なんかと、「色々大変なこともあったけど、何か、楽しかったよね」と言って、笑って引退したい。

ただ、例えば部活などでも、「1年生がちゃんと育っていないのに3年生が笑って引退」ということは難しいでしょう?
私の夢が叶うためには、前述の「バトンをつないでいける会社」が実現している必要があります。
これが叶って、笑顔で退くことができたら、それ以上の幸せはないですね。

熱い想いを忘れることなく、正しい考え方というもの常に追求していく

――最後に、「方針を定め、目標に向かって進んでいく会社」を率いる立場として、肝に銘じていることなどありましたら教えていただけますか?

「人生や仕事の結果は、考え方 × 熱意 × 能力」という方程式。
これは常に考えていますね。
京セラの稲盛和夫さんがおっしゃっていたもので、意味としては言葉の通りなんですが、この先の読み解き方にも非常に感銘を受けました。

要は、「熱意」「能力」というのは、パラメータが0から100まである。
だから例えば、どれほど能力が高くとも熱意が低ければ、掛け算の結果としては低い数字になってしまうと。
そこに加えて、「考え方」というのは100から-100まである。
良い考え方の人もいれば、そうではない考え方の人もいるということです。
つまり、熱意が溢れて、高い能力が備わっていても、結果がマイナスになることがあるというわけです。

これは、本当にその通りだと思うんですよね。
考え方が間違っていなくて、そこに熱意があれば、たとえ能力が多少劣っていたとしても良い結果を生み出すことは可能なんです。私自身、別段優秀でも何でもないのですが、だからこそ熱い想いを忘れることなく、正しい考え方というもの常に追求していかなければと思います。また、熱意のある人材に対して、良い考え方などを示せすことができる。
そんな企業でありたいと思っています。