工務店経営者インタビュー|京都府木津川市「(株)宝優工務店 アスマイルリフォーム」江川剛史様

京都府南部、奈良県との境にある木津川市で、リフォーム専門の施工を行う「(株)宝優工務店 アスマイルリフォーム」。大工歴20年の江川社長が、受注から仕上げまで一貫して担当する、リピート率90%以上の人気工務店です。開業時の苦労から生まれた独自の集客理論について、お話をお伺いしました。

専門性に特化した戦略で、廃業危機から起死回生

「お客様に信頼されるには、店舗を持つべきと思いました」

ー御社は開業されて何年目でしょうか?

江川社長:16年目になります。株式会社にしてからは5年目で、以前は梅美台という住宅地で、自宅兼用の事務所でした。しかし、独立した店舗の方がお客様の信用を得やすいですし、商圏地域と受注数の拡大を目指してこちらに移転しました。

ー国道沿いで駐車場も広いので、お客様には便利だと思います

国道沿いの店舗には江川社長の似顔絵が大きく描かれた看板が

はい、国道沿いだと様々なイベントができるのが強みですね。八尾トーヨーさんとも「リフォームラボ」(※)をやらせていただいております。京都・奈良の6社合同となりますので、1社ごとではできない大規模なイベントになりますね。

ー現在、従業員は何名おられるのですか?

社員は2名です。私は起業する前は20年間大工をやっていまして、現場でお付き合いのあった業者さんに施工をお任せしています。外注ではありますが、技術力の高さはこの目で確認済みですし、みんな身内みたいなもので信頼がおけます。ちなみに、起業したての頃は、自分で注文を受けて自分で作業までしていました。

ー年配の職人さんを使うのは、難しい面もあるんじゃないでしょうか。

現場と意見が分かれることは、当然あります。職人はプライドを持って仕事をしていますし、難しいポイントです。そこで、重要なのは意志疎通です。今のお客様は多くの情報を持っており、耐震やリノベーションなど、求められるレベルが上がってきています。その要望や、時代の変化を理解してくれる業者さんが、結局は残っていくのではないかと思います。

「仕事がなくて、飛び込み営業とチラシ配りの毎日でした」

ー今までに、いちばん苦労したのはどんな事でしたか?

起業直後がとにかく大変でした。腕に自信があって独立したのですが、一件も注文が入らないのです。そこで、大手の真似をしてみました。ところが、これが大きな間違いでした。

ー具体的には、どのような事をされたのですか?

まず、飛び込み営業に回りました。しかし、1日に20軒訪問しても断られるばかりで、それが続くと落ち込みました。次に、チラシを作りました。内容は、あれもこれも全てやりますといっぱい盛り込んで。さらに、デザインが良くないと注文が来ないと思ってデザイナーに発注しました。これらは完全に大手の真似ですね。

ーそこまでやると、お金がかかりますよね。

はい、さらに新聞折り込みをしたので大変な金額になりました。それでも、やはり注文が来なくて、仕方がないので自分でポスティングをしました。靴擦れするまで歩き回って、なのに仕事が入らず借金がかさむばかりで、精神的に追い詰められていきました。

「銘木のうんちくを語ったチラシで多くの受注をいただきました」

ー転機はどのように訪れたのでしょうか。

悪循環に陥ったのもチラシなら、それを断ち切ったのもチラシでした。「ここまでダメなら好きなことをしよう!」と思い切って、「銘木のうんちく」を語ったチラシを作ったんです。裏は「無垢フローリング」の紹介でした。私は大工なので、木にはこだわりがあります。それをチラシに反映させてみたのです。

ー反響はいかがだったでしょうか。

すごかったです!たくさんご注文をいただいて、しかもいいお客様ばっかりでした。最初は一部屋だけと言われていた方が「気に入ったので家全部やって」と言ってくださって、またその仕事が口コミで広がるので、その後も注文が増えていきました。

ー専門性の高さが信頼につながったのでしょうか?

まさにそうです。大手の真似ではなく、得意分野を前面にアピールするべきでした。それが最初はわからなかったんです。しかし、たくさん失敗したことは必要な経験でした。そのお陰で、何が理由で選ばれているのか理解できたからです。ファミレスと専門店の違いみたいなものですよね。

大工歴20年、一級建築士の「社長自身」が看板

「リフォームは職人の腕の見せ所、だから面白いんです」

ーリフォーム専門店にしたのは、どうしてですか?

私自身、リフォームが好きだからです。新築は設計図通りに作るだけですけど、リフォームは自由度が高くて面白いんです。そのぶん、経験と知恵が必要になりますが、その家の生活状況、現在のライフスタイルを細かくヒアリングして、ご提案できるのでやりがいがあります。

ー腕の見せ所ですね。

そうですね。リフォームは段階を踏んで行われるお客様が多いので、リピート発注も期待できます。ありがたいことに、通常リフォームのリピート率は2%くらいと言われていますが、うちは90%を超えています。それだけに中途半端なことはできません。せっかく信用してくださったお客様をがっかりさせられませんから。

ーリピート率90%以上はすごい数字ですね!何が決め手になっているのでしょう。

嘘をつかないことです。工事の内容も値段も、私が自らしっかりと説明しますし、細かいところまで明確にします。高い素材をお客様が望んでおられても、やめた方がいいと思えば止めますし、例え儲けが少なくなっても、顧客満足度の方を優先します。

ーそれが信頼関係を生んで、リピートにつながるのですね。

そうです。お客様は相見積もりを取られても、決して値段で選ぶわけではないです。ありがたいことに信頼していただいておりますので、クレームも全くないですし、口コミで紹介もいただけるのでありがたいです。新規はマーケティングコストが高いですから。
ただし、あまりにお客様と親密になりすぎるのもダメですね。24時間携帯が鳴りっぱなしになります(笑)そこは線引きをして、適切な距離感を保つように心がけています。

「経営者が顔を出すことを惜しんでどうするのか」

ー「うちの売り物はこれだ」というものはありますか?

それは「私」です。私自身が会社の顔で、看板商品です。私は大工歴が20年、一級建築士の資格も持っています。その私が、技術者の目線でお客様のご相談に乗りますし、どんな質問にもお答えします。これは、一般的な営業マンにはできないことだと思います。

ーそう言えば社長は、Youtubeでも人気だそうですね。

Youtubeはマーケティングツールとしては最強だと思います!会社の宣伝ではなく、リフォームについての情報を発信しているのですが、私本人が自分の言葉でしゃべっているせいか、ウソがないぶん信用してもらえます。例えば「相見積もりの取り方」という動画を見て、料金も聞かずに「あなたに工事を頼みたい」と申し込んでこられたり。

ー発注する相手の顔がわかると、安心する気持ちはわかります。

私はホームページでも駅前の看板でも、積極的に顔を出しています。リフォームはお客様に直に向き合う仕事ですから、安心感を持っていただく事が重要です。経営者が顔を出すのを惜しんでどうするのか、と思います。

「一代目ならではの苦悩、採用の難しさを実感中です」

ー商圏も広がり、受注も増えて、そろそろ社長の片腕が欲しい頃ではないでしょうか。

欲しいです。本当は今年、採用するつもりだったのですが、なかなか難しいですね。私の理念を確固たるものにして、社員になる人にしっかり共有してほしいという思いが強くて。すでに何人も社員がいればまた違うんでしょうけど、最初のひとりを採用する難しさを実感しています。きっとそれは、一代目ならではの悩みなんでしょうね。

まとめ

自身が技術者である強みをフルに活用し、お客様と現場を密につなぐ江川社長。現代の情報ツールを使いこなし、アグレッシブに情報を発信されています。趣味は高校時代から始めた筋トレ。「もうアカンと思ってから、もう一回ダンベルが上がるのが快感」と達成感を知るスポーツマンの、頼もしい笑顔が印象的でした。