建築業界で独立する方法~工務店を開業するために必要な準備

工務店を開業するために必要な準備

職人として実務経験を積み、知識や技能が身についていくと、「独立」が頭をよぎることはありませんか?しかし、どのような方法で独立するべきか、迷う人は少なくありません。独立する方法によって、ハードルの高さが異なるところがあるからです。
建築業界で独立する3つの方法について、それぞれのメリットや必要な手続きなどを紹介していきます。

建築業界で独立する方法

建築業界で独立するには、

  • 個人事業主として開業する
  • フランチャイズに加盟する
  • 工務店を会社として設立する

こちらの3つの方法が主に考えられます。建築業界で独立するために共通して必要なものを紹介したうえで、それぞれのメリットや必要な手続きについて取り上げていきます。

独立に必須の準備は開業資金

建築業で独立するには、どの方法を選ぶ場合にも開業資金が不可欠です。 独立方法によって必要な開業資金は異なりますが、共通して必要な項目としては、事務所を借りたときの費用となる敷金や礼金、リフォーム資金。これらが100万円程度かかります。また、パソコンやプリンターなど電子機器の購入費用として、50万円程度が想定されます。このほかに運転資金として3ヶ月分を見ておく必要がありますが、人を雇用する場合は人件費も含めて考えておきましょう。

さらに必要に応じて広告宣伝費やホームページの開設費用も発生します。法人を設立する場合は、登記費用などに10~25万円程度も必要です。
また、後述する建設業の許可を得るための財務的基礎などの要件を満たす方法のひとつとして、創業時の資本金などの自己資本が500万円以上あることが挙げられます。

建築業界で独立するために準備すべきもの

建築業界で独立するために準備すべきもの

建築業界で独立するにあたっては、建設業の許可を取得することで顧客から信用を得られるようになり、受注の幅も広がります。ただし、建設業の許可を得るには、一定の要件があります。そのため、建設業の許可の要件を満たすのに活用できる資格を取得しておくと良いでしょう。

建設業許可

建設業の許可を受けていないと請け負うことのできない工事があります。建設業の許可がなくても請け負えるのは、建築一式工事では請負金額1,500万円未満の工事、あるいは、延べ面積150㎡未満の木造住宅工事です。それ以外の工事では、請負代金500万円未満の工事になります。
建設業の許可には、土木工事一式や建築工事一式のほか、大工工事業や電気工事業、左官工事業など29業種あり、それぞれ業種ごとの許可が必要です。建設業の許可には、一般建設業と特定建設業の許可がありますが、まずは一定の規模の工事を請け負える一般建設業の許可を目指すのが現実的です。

また、一般建設業の許可を得るためには、建設業の経営の一定の経験を持つ常勤役員の経営業務の管理責任者や、営業所ごとに専任技術者を置くことが必要です。
財産的基礎に関する要件では、「自己資本が500万円以上」、「500万円以上の資金調達能力を持つ」、「過去5年間許可を受けて継続して営業した実績」のいずれかが必要です。このほかに誠実性に関する要件や欠格要件も存在します。

資格

上でも述べた通り、建設業の許可を得るうえの人的要件として、建設業の経営の一定の経験を持つ常勤役員の経営業務の管理責任者のほか、営業所ごとに専任技術者を置くことが必要です。また、建設業の許可を得ている場合、工事現場に主任技術者を配置することが義務付けられています。
専任技術者と主任技術者は原則として兼ねることはできませんが、一定の要件を満たす場合、兼任することが可能です。そのため、独立して建設業の許可を取る場合、自らが専任技術者や主任技術者になれれば、効率的な運営ができます。

専任技術者や主任技術者の要件には、学歴や実務経験によるものと、国家資格によるものがあります。専任技術者や主任技術者になれる資格は、1・2級施工管理技士や一・二級建築士、技術士、技能士などで、業種によっても異なります。
また、施工管理技士には種類があり、たとえば、施工管理技士で建築一式工事の専任技術者や主任技術者になれる資格は、1建築施工管理技士と2級建築施工管理技士(建築)です。
一般建設業の許可をとらない場合でも、国家資格を持っていることで、顧客の信用を得られやすくなるメリットがあります。

「個人事業主」として独立する

「個人事業主」として独立する

職人が独立する場合、一人親方になるという選択肢があります。一人親方とは、建設業で従業員を雇用せず、本人のみ、あるいは本人と家族のみで事業を営む個人事業主をいいます。
職人が一人親方の個人事業主として独立するメリットや、開業にあたって必要な手続きについて解説していきます。

個人事業主のメリット

法人を設立するには、会社の設立費用が初期費用としてかかり、毎年、決算のために税理士への依頼が必要となるため、税理士への報酬が発生します。赤字でも法人住民税の均等割の7万円の支払いが必要です。
個人事業主であれば、こうしたコストがかからずに済むことがメリットです。一人親方は身軽なため、受注する仕事を自分で選んで、自分のペースで働くことができます。
また、労災保険は、基本的には企業に雇用されている人を対象にしていますが、建設業の場合、一人親方や人を雇用してない企業の役員でも特別加入できるので安心です。

開業に必要なもの

一人親方として開業するには、税務署に開業届を提出します。青色申告を行いたい場合は、3月15日まで、あるいは1月16日以降に開業した場合は事業開始から2ヶ月以内に、青色申告承認申請の手続きが必要です。家族を専従者として給与を必要経費にしたい場合は、青色事業専従者給与に関する届出も合わせて行います。
また、これまで会社員であった場合は国民健康保険や国民年金への加入手続きが必要です。将来のため、小規模企業共済に加入しておくと安心です。一人親方の労災保険特別加入手続きも必要であり、民間の保険の工事に関する賠償責任保険や労災の上乗せ保険にも加入しておきます。

「フランチャイズ」で工務店を開業する

「フランチャイズ」で工務店を開業する

フランチャイズとは、本部を運営するフランチャイザーと加盟店契約を結び、加盟店となるフランチャイジーが加盟金やロイヤリティを支払うことで、商標を使用して商品やサービスを販売する権利を得られるものです。 工務店としてフランチャイズで独立する場合のメリットや開業に必要な手続きを解説していきます。

フランチャイズのメリット

フランチャイズは、自分が単独では開発できないような商品を取扱えることや、技術力などのノウハウを活用できること、本部で部材を一括仕入れすることによるコストダウンを図れること、システムや販促ツールを活用できることなどがメリットです。
また、フランチャイザーによっては、テレビやラジオ、新聞折り込み広告、WEB広告などによる宣伝活動を行っているため、消費者の一定の認知が期待できます。さらに、長年の実績のあるフランチャイズの場合、これまで実績と信頼によるブランド力を活かした営業活動ができることもメリットに挙げられます。

フランチャイズでの開業に必要なもの

フランチャイズへの加盟による開業を考えたら、まずはフランチャイザーに問い合わせると、説明会が開催されるケースや担当者から個別に詳細な説明を受けるケースがあります。モデルハウスや建築中の現場の見学ができることもありますので尋ねてみましょう。
フランチャイズに加盟すると、加盟金や広告宣伝費負担、ロイヤリティなどが発生しますが、フランチャイザーやエリアによる違いがあります。また、モデルハウスやモデルルームの建築が求められるかどうかも、フランチャイザーによって異なり、任意のケースも見られます。

「法人」として工務店を開業する

「法人」として工務店を開業する

職人が工務店を開業する場合、合同会社や株式会社として法人化をするという方法もあります。個人事業主としてではなく、法人化するメリットや法人化に必要な手続きなどについて解説していきます。

法人化のメリット

個人事業主として仕事を請け負うよりも、法人化した方が顧客から信頼を得やすいことがメリットです。もともと勤めていた会社から仕事をもらうだけではなく、今後、新規開拓をして拡大することを考えている場合は、法人化をした方が有利に働きます。法人でなければ取引をしない企業は少なくなく、上場企業の場合、法人でなければ取引できないケースがほとんどです。
また、日本政策金融公庫などの公的な機関からの融資は個人でも受けられますが、民間の金融機関から事業資金の融資を受けるには、法人化していることが前提になります。法人格を得ることで個人と権利関係などが切り離されるため、社会的な信用が上がるのです。

法人化に必要なもの

法人の中でも、株式会社を設立する場合の流れを、順を追って解説していきます。 まず、法人設立の準備として、商号や資本金の額、役員報酬などを決めておき、会社の代表者印を作成しておきましょう。次に、定款を作成して公証役場で認証を受けます。そして、資本金を自分名義の口座に振り込んだ後、法務局への会社設立登記申請を行い、法人の設立後に法人名義の口座に資本金を移動させます。
そのほか、税務署や都道府県税事務所・市町村役場の届出、労災保険、厚生年金や健康保険、従業員を雇用する場合は雇用保険の手続きが必要です。

建築業が加入する必要がある保険~社会保険と健康保険組合

建築業が加入する必要がある保険~社会保険と健康保険組合

2019年9月6日

独立にあたっての注意点

独立するにあたっては、事業拡大をどの程度考えているか、将来を見据えて考えておくことが必要です。 建設業の許可は個人でも取得することはできますが、法人化した際に引き継ぐことはできず、法人化するタイミングで新たに建設業の許可を取得することになります。いずれは法人成りすることを考えているのであれば、初めから法人として開業すると良いでしょう。
フランチャイズで開業する場合も、法人化や建設業の許可の必要性について、問い合わせておくことが必要です。

まとめ

建築業界で独立するには、一人親方として個人事業主で開業する、工務店としてフランチャイズに加盟する、工務店で法人化するという選択肢がありますが、必要な費用や手続きの手間は大きく異なります。独立後の将来像を想定して、自分に合った独立の方法を選びましょう。

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